とっとこハム太郎というと、ハムスター同士の愉快な掛け合いが楽しい作品であるが、この「ラブラブ大冒険でちゅ」は何とキャラ同士が喧嘩やすれ違いを起こしてしまい、”ラブ”が壊れている状態から物語が始まるのだ。これは、ハムスターたちを不幸にしたい”デビハムくん”による企みのせいなのだが、それに対抗するようにハム太郎は”エンジェルちゃん”にハムスター界を元のラブに満ちた世界に戻してもらうように頼まれ、沢山のラブを集める旅に出る。
この時点で既にワクワク感たっぷりで楽しそうな作品だが、この作品の真に面白い部分は、彼らの言うラブが単に恋愛という感情だけに縛られないというところにある。オスメス同士の掛け合いだけではなく、兄弟たちによる家族愛、ライバル同士による熱い男の友情、はたまた幽霊たちによる心温まるやり取り…など、その種類は様々なのである。そうしてハム太郎とヒロインのリボンちゃんは、色んな形のラブを集めながら、悪役であるデビハムくんに対抗していく。実にハートフルな作品なのである。
またこの作品は、ハム太郎シリーズに共通している”ハム語”システムも健在である。ハムスターたちの共通語であるハム語を集め駆使し、物語を進めていくというスタイルは非常に巧みで面白い。このハム語のモーションの細かさは時代を問わず高評価であり、その可愛らしさに思わずきゅんとしてしまうことは必至だろう。